症例紹介#20【反抗期の中学生に鍼灸治療がもたらす効果】

対象

中学生女子(今症例は疾患ではないので「患者」という名称は用いません)

状況

中学校2年生の終わり頃から少しずつ反抗期が始まり、母親に
「うるさい!」
「産んでくれなんて頼んでない!」
等の暴言を吐くようになったようです。

高校受験が控えているのに勉強をせず、成績の低下を先生に指摘されています。

家ではずっとスマホを眺めており、家族ともほとんど会話をしなくなり、注意しても怒鳴ったり拗ねて自室に篭ってしまうとのことでした。

父親とは全く意思疎通を図ろうとせず、母親とは会話はするものの、気に入らないことがあると暴言を吐き捨てます。

お母さんも思春期で反抗期とわかってはいるものの、さすがに精神的に疲弊してしまい、今回娘さんを連れて来院するに至りました。

望診の様子

やや細身ですが日焼けしていて健康的で、身体的な問題点は見受けられませんでした。

表情は少し怒っているようにも見えます。
目は合わせてもらえません。

初対面の他人に対する、典型的な思春期の子の反応です。

しかし、こちらの問いかけには丁寧に答えてくれますし、興味があったり自分が心配していた症状に対する質問に対してはしっかりと自分の体の調子を言葉で表現できるので、聡明な印象でした。

自ら申し立てた不快症状は
・肩こりがすごくてイライラする
・便秘気味である

・夜なかなか寝付けない
・昼間に猛烈に眠くなる
・自分でどう対処していいかわからない苛立ちがある
・母親に当たってはいけないのはわかっているが、どうしても甘えてしまう
というものでした。

この会話は母親同席で行っています。
この会話を聞いて母親も、娘の口からこのような悩みを聞き出すことができて、安心している様子でした。

このように、第三者が間に入ることで言えなかった心の声を言葉にすることができ、人間関係が改善する例もあります。

親しいからこそ面と向かって言えないこともある、という典型例です。

ただ、口を動かす度に首に縦に筋が立つため、かなり神経質になっている印象も受けました。

触診・施術の結果

背面には自律神経過緊張の兆候が見られる

施術台にうつ伏せで寝てもらい、背面の緊張感を調べてみました。

案の定、背中の皮膚はキツく引き締まっており、ゆとりがありません。

自律神経が過緊張の状態の時に見られる特徴です。

未成年の子供の体は、非常に鋭敏です。

大人に施術するようにしっかりと指圧を入れたりする必要はあまりありません。

今回も、手の平を使って背骨沿いに背筋群をすくい上げるように揉んでいきます。

これだけで、背筋群はゆるゆる〜と緩んでいきました。

頚部の硬さは、自律神経の昂りを示す

そして、今回の本丸である首を触診してみると、想像以上に硬く引き締まっていました。

指を添えて、少し押し込むと
「痛い」
と反応がありました。

場所は首の横の筋肉。
「肩甲挙筋」です。

首から肩甲骨の上角につく筋肉で、肩甲骨をぶら下げている筋肉です。

ここに指の腹を当て、少しずつ、ゆっくりと慎重に押していきます。

グッと押すと、筋肉は攻撃されていると錯覚して、防御のために更に硬くなろうとします。

そのため、筋肉に防御姿勢を取らせないように、慎重に圧を加えていく必要があるのです。

これが功を奏したようで、ここからこの女の子はほとんど寝てしまいました。

質問をしても
「…はい…」
という感じで、眠りと現実の間を行ったり来たりしている様子でした。

子供の苛立ちには「小児斜差の灸(しょうにすじかいのきゅう)」が効く

子供の疳の虫や反抗期の子には、「小児斜差の灸(しょうにすじかいのきゅう)」という4つのツボが効果的です。

背中にある4つのツボの総称ですが、細かく気にする必要はありません。
お子さんの背中をさすってあげて、イラストの赤丸の場所を入念に手の平で揉んであげるだけで十分です。
「ツボ」というのは、反応が得られやすい場所をある程度決めた場所に過ぎず、厳格に「ここでなければ効果はない!」というものではありません。
大切なのは「手当て」すること。
相手を慈しむ気持ちが最も大切です。
今回は、この場所に浅く鍼をすることにしました。
本人は眠ってしまっていたので、立ち会いのお母さんの同意を得て鍼を施しました。
本人は眠ったままでした。

施術後の経過

施術後はボ〜っとしているようで、母親に支えられるように帰って行きました。

後日、お母さんからその後のお話を伺うと
「暴言は全く吐かなくなりました。
イライラしていることはありますが、そういう時でも
「イライラするから鍼に連れて行って」
と自分から言うようになりました。

対処法を知ったことで、かなり落ち着いた様子です。本当に助かりました。」
とのことでした。

このように、反抗期というのは第二次性徴に伴い心と体のバランスをうまく取れないことから生じるものです。

ホルモン分泌を鍼治療で対処することはできませんが、ホルモン分泌によって乱れた自律神経の不調を整えることは可能です。

むしろ、「鍼灸治療は神経との勝負である」といわれるくらい、鍼灸治療は自律神経系の不調に効果的です。

お子さんの反抗期、不登校、多動傾向等でお悩みの方は、ぜひ一度スクナビコナ鍼灸院奈良学園前にご相談ください。

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