症例紹介#19【急なのぼせ・血の逆流感】

患者

40代女性(院長カワタシロの妻)

主訴

  • 急に顔がのぼせるような火照りがする。
  • のぼせと同時に、頭部に血が逆流するような感覚がして気持ち悪い。
  • イライラ等の気分への影響はない。
  • 肩こりはほとんど感じない。

身体所見

中肉の女性。

顔の皮膚にやや血の気が感じられない。

口調は静かだが、時折頭を抑えたり首回りを気にする仕草をする。

望診結果

やや目がいつもよりキツくなっており、目の周りに若干のクマが見受けられました。
疲労とストレスが蓄積しているのも、今回の症状の原因の一つかもしれません。

また、左右共に耳の下から鎖骨の外側にかけてピンと筋が張っていました

この首の筋は普段は見られず、妻が強いストレスを感じていたり、肩こりを強く訴える時に見られる兆候です。

その他に特筆すべき点は見受けられませんでした。

治療内容

ストレスが現れる背中の筋肉から対処する

背部の皮膚や筋肉の緊張度を診ると、ピンッと張っており神経過敏状態であると推察できました。

交感神経が強く作用すると、全身の皮膚に強いハリが生まれます。

これは特に背面に顕著に現れます。

この背面の緊張を取るには、痛みを与えるような強い刺激は御法度で、手のひらを使って背中の筋肉をすくい上げるように揉んでいくのが最良の方法です。

「気持ち良い」と神経に感じさせることで、交感神経→副交感神経へのチャンネルが切り替わるからです。

交感神経→副交感神経のチャンネルが、長期間のストレス状態等にさらされうまく切り替わらない状態を
「自律神経が乱れた」と一般的に表現します。

あなどれない首肩のこり 頚性うつにご注意を

上記にも記したとおり、妻は強いストレスを感じていたり肩こりがやや長期間続くと、耳の下から鎖骨の外側にかけてピンと張った糸のような硬い筋が浮き上がってきます。

これは、頚部(首のこと)の筋肉が緊張状態にあることを示しています。

肩こりを訴える患者さんでも、実際に治療にかかると原因は頚部にあった、なんてことは少なくありません。

この頚部のこりは、放置しておくと、脳への血流を阻害してしまいます

理由は、こりによって柔軟さを失った筋肉が頚部の血管を圧迫し、本来脳へ向かうはずの血のルートを阻害してしまうためです。

これらの症状は最初は微々たるもので、
「なんだか肩こりがするな」
と言う程度のものです。

しかし、この「微々たるもの」が厄介なのです。

「微々たるもの」であるが故に放置し、それが積み重なって気づけば大きな精神ストレスになってしまっているのです。

今は「頚性うつ」と言う言葉も生まれています。

ご存知でしょうか?

首肩のこりがひどくなり、うつ症状を伴うようになってしまうことを指しています。

首肩のこりは、放置しておくと、「こり」として認識しなくなり
落ち込む・不安感を強く感じる・息苦しい・人の目を向けられることを怖がる
等の、うつ症状を生み出してしまいます。

そのため、精神科等を受診しても
「異常なし」「原因不明」
と診断され、途方に暮れてしまい、さらに悪化する…と言う悪循環になってしまう例もあります。

頚部の緊張を解くには鍼が最適

話が少し脱線してしまいました。

頚部のこりの原因は、ほとんどが肩甲挙筋(けんこうきょきん)という首の両サイドに一本ずつ付いている筋肉が原因であることが多いです。

この肩甲挙筋は、首の骨の横から肩甲骨の上端にひっついており、
首から肩甲骨をぶら下げている状態
を作っている筋肉です。

もちろん、この筋肉だけが肩甲骨を支えているわけではありませんが、重力によって下に引っ張られる肩甲骨を支えているわけですから、常に疲労にさらされています。

また、緊張状態にさらされると、身を縮める動作を無意識にとります。

この際、身を縮めるように肩をすくめる動作に作用するのも、この肩甲挙筋です。

この緊張した肩甲挙筋のトリガーポイント(こりの原因となっている場所)を指で押すと、腕や側頭部が痺れるような感覚が現れます。

つまり、指先の痺れや頭痛も、この肩甲挙筋のこりが原因である場合があるわけです。

この筋肉の緊張を解いてあげるだけでも、自律神経を乱しているストレスを大きく除去することが可能です。

指でマッサージしても良いのですが、トリガーポイントに鍼を置くことによって響くような気持ちよさを持続させたまま他の部位への施術が可能となるので、鍼での施術はリラックス・精神安定効果が非常に高いと言えます。

ストレス状態が長期間続くことで、エストロゲンの分泌が低下して、
うつ状態やほてり、焦り、発汗等の更年期症状を作ってしまうことがあります。
まして、女性は更年期に入るとエストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンの分泌量が減少するため、このような症状が出やすくなります。
そこに首肩こり等のストレスが長期間続くことで、さらに女性ホルモンの分泌量が減少し、更年期症状が現れやすくなってしまうのです

ほてりや発汗等には、足への刺激も効果を生む

更年期症状はほとんどが頭部に発生します。

これに対し鍼灸等の東洋医学では、足へ鍼や灸による刺激を入れることを推奨しています。

これを東洋医学では「気の流れを整える」と説明しますが、これではなんのことだかわかりません。

ですから、私見を交えて説明すると、
「ほてりや頭痛等によって上にばかり上がってしまった意識を下に向けることによって、症状を軽減させる」
ためではないかと思っています。

私は患者さんには、家でせんねん灸をすすめています。

手軽で効果も感じやすく、ストレスを軽減する作用もあるからです。

更年期症状が出始めた場合は、

手首のしわの少し上くらい
内くるぶしとアキレス腱の間少し上
イラストの赤丸部位あたり
の3箇所をお勧めしています。
今回の妻の症状にも、首肩のこりをとった後に上記場所にお灸をしました。
ご自宅でできるセルフケアとしてお灸をお勧めしていますが、火を使うためどうしてもできないと言う方もおられます。
そういった方にお勧めなのが、こちらのハーバルQです。
いわゆる電子温灸器で、火を使わず充電することで何度でも使用することができる上、設定温度が実際のお灸と同じ温度に設定されているため、せんねん灸と同じ効果を感じることができる優れものです。
身体冷えてませんか?ポイント温感ケアで温活【CalmMe HERBALQ】

術後の感想

妻に施術後の感想を聞いてみると、

「ほてり感は少し残ってるけど、血が逆流する感じはなくなったわ。やるやん。」

と褒めてもらいました。

終わりに

今回の話を要約すると

・首肩のこりは「頚性うつ」を生んでしまう
・首肩こり等のストレスはエストロゲンの分泌を減らし、更年期症状を悪化させる
・意識を下に向けるだけで症状は和らぐ

です。

皆様も、首肩こりや更年期症状でお悩みの場合は、ぜひ一度スクナビコナ鍼灸院奈良学園前へご相談ください。

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