はじめに
中高生の肩こり、過緊張が増えている
今年に入ってから、当院では中高生の肩こりを主訴とする治療依頼が増加しています。
まだまだ統計が取れる様な人数ではありませんので、詳細な分析ではありませんが、やや女性の方が多いような感じはします。
今回の症例紹介では、特に印象に残っている女子中学生の症例をご紹介します。
患者
体格細身
「最近イライラしていることが多く、夜も寝付けないようで夜遅くまで起きている」と母親に連れられて来院
主訴
「肩こってる…」
「頭痛い…」
と、片言でしか答えてくれないのが普通です。
問診特徴
ややつり目気味で、一見して不機嫌な印象を受けるが、瞼が下がり寝不足が伺えた
体格は細身だが、肩の僧帽筋が強く張り出し、首から肩にかけて三角形のフォルムを形成しており肩周辺の筋肉の強い緊張が伺えた
注意すべきは、その目に「力があるかどうか?」です。
本来若くエネルギーに満ちているはずです。
しかし、彼女は疲労のためかやや目が濁っているように感じ、
そのため、「疲労で自制ができなくなりつつある」と感じました。
身体所見
背術台にうつ伏せで寝てもらい、施術を開始しました。
最も特徴的だったのは
ということでした。
これは、交感神経が昂り、血管を収縮させて防御姿勢を取り続けているためです。
交感神経は戦闘時に優位に働く神経で、血管を収縮させて血圧を上げ人を興奮させて集中力を高める一方、長時間その状態が継続すると血行不良を起こし、イライラや冷え、過剰な肩こり、気分障害を引き起こします。
そして、脳から伸びた交感神経は背骨の中を通り、胸椎と腰椎から外に出て全身に分布します。
そのため、背中の皮膚の張りは交感神経が緊張するとピンッと張り詰め、ゆとりがなくなってしまいます。
治療の注意点
交感神経が長期間にわたって亢進している患者に対しては、痛みは厳禁です。
痛みは脳が「攻撃されている」と錯覚し、交感神経をさらに亢進させてしまうからです。
この様な症状の患者さんに対しては、とにかく優しい刺激を心がけることが鉄則です。
過去に治療した同様症例もあわせてお読みください♪
症例紹介 【症例】 30代女性 主訴:肩凝り・頭痛・不眠・倦怠感 所見:伏目がちだが、目つきが鋭い。口調は穏やかだが、うんざりした様子。 舌所見:全体的に紅く苔が少ない。舌尖が著しく紅い。 脈所見:キンキンとした鋭く強いリズム […]
症例紹介 主訴:全身の倦怠感と無気力・肌荒れ・一ヶ月にわたる長期の便秘 所見:目の下にクマが認められ、表情が暗く元気がない。頬に数個のニキビが見られ、かなり気にしている。 舌所見:やや紅く、暗い 脈所見:太く勢いはあるが、圧すると消[…]
主訴:手足、特に足の裏がモヤモヤして気持ち悪い。腰付近がダルく抜けるような感じがする。 内容:仕事自体は順調ではあるが、将来のことを考えると漠然とした不安にかられる。最近は手足、特に足の裏がモヤモヤして気持ち悪い。特に夜中にひどくなり、眠[…]
施術内容
この部位を優しく撫で上げた後、外側から背骨に押し当てる様に手のひらで丁寧に揉んでいくと、筋肉が痙攣して緩んでいく感覚が得られました。
つまり、筋肉が過剰に収縮した結果自ら伸び縮みできなくなってしまっていた状態を意味しています。
この筋肉を緩めるだけで、今回の患者は眠ってしまいました。
ターゲットは、イラストにピンクで記載されている、「胸鎖乳突筋」という筋肉です。
この筋肉が硬くなると、
・噛み締めが強くなる
・就寝中に歯軋りする
・頭痛が続く
等の症状が見られるようになります。
肩こりや神経症状を緩和させる際には処置しなければならない筋肉ですが、方法を間違えるとノドを突いてしまうおそれがある為、処置しない治療院もあります。
症状によっては鍼を使わない方が良い時もある
当院は鍼灸院ではありますが、症状や患者さんの状態によっては鍼を使わず整体法のみで施術することも多くあります。
本症例のように
・患者は未成年で鍼は経験がない
・交感神経が緊張状態で、皮膚感覚が鋭敏になっている
場合などは、鍼は使いません。
整体法でゆっくりと痛くないように筋肉を揉んで、休ませていく方法が最善です。
本件の場合も、鍼は使わず整体法のみで背術を完了しました。
施術後に笑顔が戻った
施術までは目を合わせてくれませんでしたが、施術後は体が楽になったのか、終始笑顔で色々と話を聞かせてくれました。
・主訴
の項目に記述した4点も、施術後のこのタイミングで聞き出したものです。
・SNSを通じて24時間誰かと連絡を取り合っている
・返信を返さないと、学校に行った時に「なんで?」と問い詰められるかもしれないと心配になる
・将来のことを考えると不安になる
・イライラして親に当たってしまって申し訳ないと思っているが、どうしようもない自分への苛立ち
ということでした。
生活上のアドバイス
この様な年代のお子さんを持つ親御さんにおすすめしたいケア方法が、
スキンシップ
です。
思春期は大人ぶりますが、まだまだ子供です。
肌に触れて、優しく背中を撫でてあげるだけでも全然違います。
思春期の子供は彼らなりに、自分の制御できずに悩んでいます。
大人がオロオロするとさらに不安になってしまいますので、落ち着いて大きな気持ちで「ええんやで」と撫でてあげましょう。
まとめ
今回の症例紹介を簡単にまとめておきます。
- 肩こりやイライラ、不眠で悩んでいる思春期の子供は交感神経が過剰に昂っている恐れがある
- 「たかが肩こりくらいで」と言わず、一度真剣に話を聞いてあげる
- 家ではスキンシップを取り入れて、背中を撫でてあげる
ということでしょうか。
参考
当院では、24歳以下の学生を対象にした学割プランをご用意しております。
40分¥3,000で行っておりますので、ぜひご活用ください。
鍼を使わず整体法のみでの対応もいたします。
「この症状でも大丈夫かな?」と思ったら、迷わず当院でLINE相談をご活用ください。
何度でも無料で症状相談を行っておりますので、ご活用ください。
スクナビコナ鍼灸院 奈良学園前 鍼灸師 カワタシロです。 このブログでは、【お家で簡単灸活グッズ】をご紹介します。 お灸は松尾芭蕉の「奥の細道」にも登場する 松尾芭蕉の記した奥の細道の冒頭に 「足の三里に[…]