陽虚とは?体を温める力の低下と冷えによる不調

はじめに

「寒がりで手足がいつも冷たい」「疲れやすく、やる気が出ない」「むくみやすく、体が重だるい」——このような症状に心当たりはありませんか?

東洋医学では、これらの不調は「陽虚(ようきょ)」という状態に分類されます。

陽虚とは、体を温める力が不足することにより、冷えやエネルギー不足の症状が現れる状態です。

本記事では、陽虚の基本的な概念、陽虚による症状とその原因、東洋医学と現代医学の視点からの解説、そして改善のための具体的な方法について解説します。


陽虚とは何か?

東洋医学では、「陽」は体を温め、活動を促すエネルギーと考えられています。

陽気が不足すると、体温調節機能が低下し、冷えや疲労感、むくみなどの症状が現れます。

陽虚の状態が続くと、代謝が落ち、体全体の機能が低下し、慢性的な冷えや体調不良につながることがあります。


陽虚の症状と影響

陽虚が起こると、以下のような不調が現れることがあります。

精神的な影響

  • やる気が出ない、無気力になる
  • 気分が落ち込みやすい
  • 眠気が取れず、一日中ぼんやりする

身体的な影響

  • 手足の冷えが強く、温めてもすぐ冷える
  • 疲れやすく、体が重だるい
  • むくみやすい
  • 下痢をしやすく、消化機能が弱い
  • 低血圧や動悸が起こることがある

特に、冬場や寒い環境にいると症状が悪化しやすいのが陽虚の特徴です。


陽虚の原因(東洋医学・現代医学の視点)

東洋医学の視点

東洋医学では、陽虚の主な原因として以下が挙げられます。

  • 寒冷の影響 → 寒い環境に長時間いると、体の陽気が消耗する
  • 食生活の乱れ → 冷たいものや生ものの過剰摂取により、体を温める力が低下する
  • 過労や睡眠不足 → 体の回復が追いつかず、陽気が衰える
  • 腎陽の不足 → 加齢や慢性的な疲労によって腎の陽気が減少する

現代医学の視点

現代医学的に見ると、陽虚の症状は「低血圧」「代謝低下」「ホルモンバランスの崩れ」などと関連しています。

  • 基礎代謝の低下 → エネルギー産生が減り、冷えや倦怠感が起こる
  • 甲状腺機能低下との関連 → 代謝が低下し、寒がりやむくみが出やすい
  • 自律神経の乱れ → 交感神経の働きが低下し、血流が悪化する

このように、東洋医学と現代医学の視点から見ても、陽虚の症状は生活習慣や代謝の低下と密接に関連していることが分かります。


陽虚を改善する方法

1. 体を温める食事を意識する

陽虚を改善するためには、体を温め、エネルギーを補う食材を摂ることが重要です。

陽を補う食材

  • 羊肉、鶏肉、牛肉(体を温める)
  • 生姜、ニンニク、シナモン(陽気を活性化)
  • もち米、黒豆、くるみ(腎の陽を補う)
  • 唐辛子、山椒(適度な刺激で血行促進)

控えるべき食材

  • 生もの、冷たい飲み物(体を冷やす)
  • 過度の甘いもの(代謝を低下させる)
  • カフェインの過剰摂取(交感神経を過剰に刺激し、疲労を悪化させる)

2. 適度な運動で血流を促す

陽虚の人は、血流を改善し、体温を上げるために適度な運動を取り入れることが大切です。

  • 朝のウォーキングや軽いジョギング
  • ストレッチやヨガで体をほぐす
  • 深呼吸を意識し、酸素をしっかり取り入れる

特に、朝の活動を意識すると、陽気が活性化しやすくなるのでおすすめです。


3. ツボ押しやお灸で陽気を補う

陽虚を改善するためには、体を温めるツボを刺激するのも有効です。

陽虚を改善するツボ

  • 関元(かんげん)(おへその下にあり、体を温める)
  • 命門(めいもん)(腰の中央にあり、腎陽を補う)
  • 足三里(あしさんり)(膝下にあり、エネルギーを高める)

お灸を使うことで、さらに陽を補う効果が期待できます。


陽虚から派生する弁証(簡単に紹介)

陽虚は他の症状と組み合わさることで、以下のような弁証に発展することがあります。今は「こんなのがあるんだな」くらいの認識で大丈夫です。

  • 陽虚寒湿(ようきょかんしつ) → 体が冷え、むくみや関節の痛みが出る
  • 陽虚水滞(ようきょすいたい) → 陽の不足により水分代謝が悪化し、むくみや冷えがひどくなる
  • 陽虚気虚(ようきょききょ) → 気と陽の両方が不足し、極度の疲労や倦怠感が続く

まとめ

陽虚は、体を温める力が不足し、「冷えやエネルギー不足が続く」状態です。食事や運動、ツボ押しを活用することで、陽を補い、心身のバランスを整えることが可能です。

もし、慢性的な冷えや疲労が続く場合は、鍼灸治療も有効な手段の一つです。専門家のアドバイスを受けながら、自分の体質に合ったケアを取り入れてみましょう。

 

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