脾気虚とメンタル不調の関係 – 内臓と腸の健康が心に与える影響

はじめに

最近、気力が湧かない」「考えすぎて疲れる」「胃腸の調子が悪いと気分も沈む」——このような経験はありませんか?

東洋医学では、「心身一如(しんしんいちにょ)」という考え方のもと、心(精神)と体(身体)は一体であり、相互に影響し合うと考えます。

特に、脾(ひ)と腸の健康はメンタルの安定に深く関わるとされ、脾のエネルギーが不足する「脾気虚(ひききょ)」の状態になると、消化機能の低下だけでなく、思考力の低下や気力の減退、不安感の増加といった精神的な不調を引き起こすことがあります。

本記事では、脾気虚とメンタル不調の関係を掘り下げ、内臓(特に腸)の健康が心に与える影響について詳しく解説します。

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脾気虚とは?

東洋医学における「脾」とは、消化吸収を司る重要な臓腑であり、西洋医学でいう「胃腸」の働きと重なる部分があります。
脾は食物から気(エネルギー)を作り出し、体中に供給する役割を持っています。

しかし、脾の働きが低下し、十分なエネルギーを生み出せなくなる状態を**「脾気虚」**といいます。脾気虚になると、消化不良や食欲不振だけでなく、気力の低下や精神的な不安定さが目立つようになります。

脾気虚の主な症状

身体の症状 メンタルの症状
消化不良・食欲不振 気力が湧かない・無気力
倦怠感・疲れやすい 不安感・落ち込みやすい
軟便・下痢 思考がまとまらない・集中力低下
むくみやすい 過剰に心配しやすい
顔色が青白い 考えすぎ・迷いやすい

このように、脾のエネルギー不足は身体の不調だけでなく、メンタルの不調を引き起こすことがわかります。


内臓(特に腸)の不調がメンタル不調を引き起こすメカニズム

1. 腸と脳は「腸脳相関」でつながっている

近年の研究では、腸と脳は神経ネットワーク(迷走神経)を通じて密接に影響し合っていることが分かっています。この関係を「腸脳相関(ちょうのうそうかん)」と呼びます。

脾気虚によって腸内環境が乱れると、次のような影響が現れます。

  • 腸内環境が悪化すると、セロトニン(幸福ホルモン)の分泌が減少 → 不安や抑うつ感が増す
  • 消化機能が低下すると、栄養吸収が悪くなり、脳のエネルギー不足 → 集中力・思考力の低下
  • 腸内の炎症が続くと、ストレスホルモン(コルチゾール)の分泌が増加 → イライラや不安感が増す

このように、腸の状態はメンタルの安定に直結しているのです。

2. 脾気虚がストレス耐性を低下させる

脾のエネルギーが不足すると、身体の「気」全体が減少し、ストレス耐性が低下します。

  • 気が不足すると、ストレスを受け流す力が弱まり、些細なことで不安になりやすい
  • 脾が弱ると、思考がまとまらず、過剰に悩む傾向が強くなる
  • 慢性的な脾気虚は、不安障害や抑うつ症状につながることも

つまり、脾気虚は「気力を奪う」だけでなく、「ストレス耐性を下げる」という二重の影響をメンタルに与えるのです。


脾気虚によるメンタル不調を改善する方法

1. 食事で脾を強化する

脾気虚の改善には、消化を助け、エネルギーを補う食事が重要です。

脾を補う食材

  • 温かいスープ、おかゆ(消化吸収を助ける)
  • 山芋、大豆、かぼちゃ(エネルギーを補う)
  • 生姜、ネギ、シナモン(胃腸を温める)

避けるべき食材

  • 冷たい飲食物(アイス、冷えたジュース) → 消化機能が弱まる
  • 脂っこいもの・甘いもの → 脾に負担がかかる

2. 軽い運動で気の巡りを改善

適度な運動は、気の巡りを良くし、メンタルの安定につながります。

おすすめの運動

  • 20〜30分のウォーキング
  • ヨガやストレッチ(体を温め、リラックス効果)
  • 軽い筋トレ(血流を促進し、エネルギーを増やす)

3. ツボ刺激で脾の働きを助ける

脾気虚には、ツボ刺激も有効です。

おすすめのツボ

  • 足三里(あしさんり)(膝下) → 消化機能を高め、疲労回復
  • 中脘(ちゅうかん)(みぞおちとおへその中間) → 胃腸の働きを整える
  • 三陰交(さんいんこう)(内くるぶしから指4本上) → 気の巡りを改善

これらのツボを1日2〜3回、ゆっくり押すことで、脾の働きを活性化できます。


まとめ

脾気虚は「気力の低下」だけでなく、「ストレス耐性の低下」や「腸内環境の悪化」によって、メンタル不調を引き起こします。

腸内環境の悪化は、セロトニン分泌の低下につながる
脾気虚を改善することで、ストレス耐性を向上させ、メンタルを安定させることができる
食事・運動・ツボ刺激を取り入れ、脾の働きをサポートすることが重要

胃腸の調子が悪いと感じるときは、脾気虚を改善することで、メンタルの安定にもつながることを意識してみましょう。

このような症状でお悩みの際はぜひスクナビコナ鍼灸院奈良学園前にご相談ください。

 

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