症例紹介
主訴:全身の倦怠感と無気力・肌荒れ・一ヶ月にわたる長期の便秘
所見:目の下にクマが認められ、表情が暗く元気がない。頬に数個のニキビが見られ、かなり気にしている。
舌所見:やや紅く、暗い
脈所見:太く勢いはあるが、圧すると消えてしまう
東洋医学的所見:肝脾不和、肝気鬱結
所見:目の下にクマが認められ、表情が暗く元気がない。頬に数個のニキビが見られ、かなり気にしている。
舌所見:やや紅く、暗い
脈所見:太く勢いはあるが、圧すると消えてしまう
東洋医学的所見:肝脾不和、肝気鬱結
主訴の内容
接客業をしているが、職場で理不尽に叱責され、たまらない。
自分ばかりがターゲットにされ、他の者は何も指摘されない環境にも嫌気が指している。
仕事を始めてからお腹が痛くなりやすく、便通も悪くなった。
それまで肩凝り等を感じたことはないが、働き始めてからずっと肩が重く感じる。ひどい時は吐き気もする。
一度叱責されたことに反論したが、その後からさらに厳しくなり、最近は仕事前に玄関の前で立ち止まってしまう。
ここで辞めると、あいつらに負けた気がするので辞めたくない。
自分ばかりがターゲットにされ、他の者は何も指摘されない環境にも嫌気が指している。
仕事を始めてからお腹が痛くなりやすく、便通も悪くなった。
それまで肩凝り等を感じたことはないが、働き始めてからずっと肩が重く感じる。ひどい時は吐き気もする。
一度叱責されたことに反論したが、その後からさらに厳しくなり、最近は仕事前に玄関の前で立ち止まってしまう。
ここで辞めると、あいつらに負けた気がするので辞めたくない。
内容からの考察
職場環境のストレスにより、抗ストレスホルモン(アドレナリン・ノルアドレナリン)が分泌されることにより、血圧上昇、呼吸数神経過敏となっていると推察される。
神経過敏から交感神経優位の状態となり、内臓活動が低下し、便秘・肌荒れの症状が出ている。
交感神経過剰の状態であるから、常に脳が覚醒状態となり、不眠・浅い眠りとなって倦怠感が付きまとう。
東洋医学的考察
怒りの感情から「肝」の気を巡らせる機能が失調し、気の巡りが悪くなり、水血の巡りも悪くなりニキビ等の瘀血の症状が出現する。
怒りの感情は気を上昇させるので頭部に鬱滞し、怒りがさらに抜けにくくなり、不眠・怒り・不安等の症状となる。「肝」と「脾」は密接に繋がっており、肝の失調は脾の活動を鈍化させ、内臓活等の低下、排便困難となる。
触診所見
背骨沿いに手掌で撫で上げると、皮膚の張りが異様に強く、伸びがない状態から、緊張状態である裏付けとなった。
頭部に熱感があり、頭皮がややぶよぶよとした感触があり頭部への気血の鬱滞がうかがえる。
ふくらはぎも強くはり、内側から強く抵抗される感覚があるが、反面足先は冷たく凍ったようである。
疲労から体を温める作用が低下した「腎陽虚」の症状も診られた。
頭部に熱感があり、頭皮がややぶよぶよとした感触があり頭部への気血の鬱滞がうかがえる。
ふくらはぎも強くはり、内側から強く抵抗される感覚があるが、反面足先は冷たく凍ったようである。
疲労から体を温める作用が低下した「腎陽虚」の症状も診られた。
治療内容
鍼灸治療を提案するも、明確に拒否はしないものの、鍼治療に抵抗があり気が進まない様子であったことから、灸と整体技術のみで施術することとした。
肝気鬱血状態で、鍼に拒否感をもつ者に対して鍼治療を行うと、かえって症状を悪化させる恐れがあることから、鍼にこだわらない治療方法を持つことも重要である。
神経過敏状態の者には痛みを与える施術は厳禁で、常に適圧・心地よいと思う加減とともに、阿是穴(明確に効いている!と思える場所)を確実に押圧する必要がある。
便秘と足先の冷えから、腎臓付近を温めるため箱灸を使用して首肩周りの施術中に温めを行っていたところ、患者が「お腹が痛い。トイレに行きたい」と申し立てたことから、一旦中断した。
施灸場所
トイレから出てくると「一ヶ月分全部でたような気がする。鍼灸はすごいですね」と来院時とは違ってニコニコ笑い、明るく血色の良い顔色になっていた。「鍼は使ってないんだけどな」と思いながらも、患者が満足してくれるなら方法はなんでもいいと改めて思わされた。
その後
彼女は3週に一度の頻度で来院している。
若く活発な性格であるので、顔色や表情でその時の体調がわかりやすい。
不調が来そうな前兆があると来院しているそうで、結果も伴いやすい。
環境に負けずに頑張ってほしいと思う。
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