今回は、私が警察を辞めて鍼灸の道へ進むことにした経緯についてお話しします。
Twitterで、私の事を応援してくださる方もおられ、とても嬉しく、勇気をもらっています。
しかし、私は決して前だけを向いて決断したわけではありません。
本当の理由を知ってもらいたいという気持ちで、この記事を投稿しようと思ったのです。
警察官時代のこと
略歴
私はとある県警で16年勤務しました。
退職時の階級は警部補でした。
少し自慢ですが、昇任は早い方でした。
主に警備部門で勤務し、公安捜査、外事捜査を担当していました。
研修で刑事部の盗犯係でも3年間の勤務歴があります。
私の性格
私は結構自分を追い込むタイプの人間です。
ストレス過多の環境下で生きている事を実感するタイプでした。
そう思っていたので、警察官時代は本当に大変でしたが、生きているという実感には満ちていました。
何ヶ月も休みがなかった時もザラです。
新婚旅行の時も休みがもらえず、土日祝日の三連休の時に、代休を一日使わせてもらい、国内旅行に行っただけです。
それでも上司にはかなり嫌な顔をされましたね。
ただ、警察官時代は「苦しむことが仕事。皆が嫌がることをすれば評価があがる。」
真剣にそう思っていました。
「昇進こそ男の本懐」
そう信じて仕事に没頭してきました。
その為か、子供をもうける時期も逸してしまいました。
それでも私は仕事に打ち込みました。
部下からもそれなりに慕われていたと思います。
仕事の内容は辛いものが多かったですが、部下と共に「班」として、様々な事件を解決してきました。
上司との軋轢
私は、仕事をせずに組織にしがみつき、金だけむしり取り、若い者のやる気を阻害する高齢幹部を心底毛嫌いしていました。
今でも嫌悪の対象です。
彼らは自分たちが仕事をしないだけならまだしも、若い者をアゴで使い、やる気を損わせる。
自尊心だけは山のように大きいから余計にタチが悪い。
嫌悪の対象でした。
態度にも口にも出していました。
しかし、私は甘かった。
彼らの持っている「権力」の大きさを見誤りました。
「あいつは生意気だ。」そう思われたのでしょう。
突然窓際へ移されました。
周りの者から見れば、私が上から睨まれた事は火を見るよりあきらかです。
「やられた、、、」
彼らに対する自分の認識の甘さを後悔しました。
部下も奪われ閑職に追いやられた後は、空を見て過ごすしかありません。
自尊心もへし折られてしまいました。
ある日の交番の夕方
田舎の、誰もいない交番の勤務員となりました。
それまでの仕事と違い、自分一人で全て決めて仕事ができるので、楽ではありました。
お年寄りの家に行って話を聞いて、町会長さんと防犯教室をやって。
やり甲斐はこれまでと違えど大きかったです。
交番勤務員としての楽しさを見出し始めた頃には
「このまま交番勤務で定年を迎えてもいいかな」
と思うようになってきました。
半年ほど交番勤務をしていた時
「俺、高校出る時、鍼灸師になりたいと思ってたな。」
夕日が差し込む交番で、一人ぼんやりそんな事を考えていました。そして
「定年まであと20年もある…下手したらあと25年か…
このまま終わるのはイヤや…まだ、本気で働きたい。」
と、消えたはずの野心に小さく火が灯るのを感じました。
私は学生の頃鍼灸師に憧れ、志そうとした時期がありました。しかし鍼灸学校は高額で、家庭環境の関係もあり断念し、無料で受験できる警察官の試験を受け、警察官となりました。
そして16年勤務しました。
「今更、鍼灸師なりたいなんて、カミさんに言うたら怒るやろなぁ。ローンもあるし。でも、もう誰かの下で働くのはイヤやわ。」
交番で一人、そんなことをブツブツ言っていました。
あなたは何がしたいの?
帰宅した夜、思い切って妻に交番で考えていたことを打ち明けてみました。
「ええんちゃう?でも家のローンは払われへんし、売らなアカンで。」
と思いがけない言葉が返ってきました。
「いいの?」
自分から言い出したことなのに、聞き返してしまいました。
「あなたは何がしたい?16年も頑張ってくれたんやから、後は自分のやりたいことやって」
と言い、さらに
「公務員は確かに安定してるけど、上のもんの意思一つで自分の将来を左右される。生殺与奪の権利を握られてるようなもんや。鍼灸師やったら独立もできるし、どこかで働いても嫌やったら色々なところを渡り歩いたら良いだけのことやからな。
悪い選択やないと思うで。」
意外な言葉が返ってきたので、少し戸惑いながらも、心に何かが芽吹く感触に気づきました。
「ありがとう!」
私の行為で招いたことなのに、妻はそれを責めることなど全くせず、私を尊重してくれている。
その日に16年の警察人生に幕を下ろす事を決めたのです。
警察官を辞めて
その後は新しく住む所を決めて、鍼灸の学校を決めて、忙しく毎日が過ぎていきました。
退職の手続きは驚くほどアッサリしていました。
上司からすれば、思惑どおりにやっかい者が辞めて行ったとしか感じていないでしょう。
退職辞令交付の日、妻から
「悪いことしてないんやから、絶対に下向いたらアカンで!胸張ってアゴ上げとき!王者の風格やで!」
と送り出されました。
私は堂々と辞令を受け取り、署を去りました。
現在の心境
大学を卒業してから、16年ぶりに自由の身となりました。
将来に対する不安は常に付きまといますが、想像以上に晴れやかな気持ちです。
ささいなことですが、仕事を辞めてから
- 毎日ヒゲを剃る
- 毎日髪をセットする
はどんなことがあっても絶対にやるようにしています。
少しの身だしなみの乱れから、生き方そのものが乱れると思っているからです。
そして、Twitterとブログを始めたのもこれくらいの時期です。
警察はSNSの類を一切禁止していますので、私にとっては初めての試みです。(Twitterのアカウントは持っていましたが)
衝撃を受けました。
私はそれまでSNSに良い印象をもっていませんでしたが
「こんなに温かい人たちがいるのか。」
と感じたのです。
そして、気持ちがとても前向きになりました。
今までは
- 苦労することが仕事
- 辛い事が生きること
- ガマンの度合いが幸福度
と真剣に思っていました。
今はこんなに幸せでいいのか、と思っています。
今朝も妻が
「こんなにゆっくり朝ごはん食べられるなんて思わんかったね。辞めてよかったね。」
と言ってくれました。
まだ学校も始まっていませんが、まずは生活を安定させたいと思っています。
生活を軌道に乗せて、妻を安心させたいと思っています。
警察官を辞めて後悔はありません。
やり残した事もありません。
満足のいく警察人生だったと胸を張って言えます。
そして、これからも満足のいく人生を送れるよう、楽しんで努力しようと思っています。
少し重たい話になってしまいましたが、これが私が鍼灸を目指した経緯です。
現在警察官(公務員)で転職を考えている、悩んでいる方は
コチラを参考にしてみてください。
読んでいただきありがとうございました!
また次回お会いしましょう!
スクナビコナ鍼灸院 奈良学園前 鍼灸師 カワタシロです。 このブログでは、【お家で簡単灸活グッズ】をご紹介します。 お灸は松尾芭蕉の「奥の細道」にも登場する 松尾芭蕉の記した奥の細道の冒頭に 「足の三里に[…]