実証のない臓腑 – 東洋医学における「虚証のみの臓腑」とその理由

はじめに

東洋医学では、臓腑の不調を「虚証(きょしょう)」「実証(じっしょう)」の二つに分類します。虚証は「気・血・津液が不足し、機能が低下した状態」実証は「気・血・津液の滞りや過剰による症状」を指します。

しかし、すべての臓腑に「実証」が存在するわけではなく、特定の臓腑には「虚証のみ」が見られ、実証の概念がないとされています。本記事では、実証が存在しない臓腑(脾・腎・心・肺)について掘り下げ、その理由を詳しく解説します。


実証のない臓腑とその理由

以下の四つの臓腑は、基本的に虚証のみであり、実証の概念がありません。

1. 脾(ひ) – 「消化・栄養吸収の低下が問題になる」

主な虚証

  • 脾気虚(ひききょ) – 消化不良、食欲不振、倦怠感、軟便
  • 脾陽虚(ひようきょ) – 冷え、むくみ、慢性の下痢
  • 脾陰虚(ひいんきょ) – 口の乾燥、便秘、皮膚の乾燥

実証が存在しない理由

  • 脾の役割は「運化(消化・吸収)」であり、過剰に働きすぎることはない。
  • 気の滞りや停滞が問題になるのではなく、**エネルギー不足による機能低下(虚証)**が主な病態。
  • 「脾の実証」という概念はなく、脾の働きが低下することで生じる「湿邪(しつじゃ)」「痰湿(たんしつ)」の停滞が問題となる。

2. 腎(じん) – 「生命エネルギーを蓄える臓腑」

主な虚証

  • 腎気虚(じんききょ) – 尿漏れ、疲れやすい、耳鳴り
  • 腎陽虚(じんようきょ) – 手足の冷え、むくみ、活力の低下
  • 腎陰虚(じんいんきょ) – ほてり、のぼせ、寝汗

実証が存在しない理由

  • 腎は生命エネルギー(精)を蓄え、成長や生殖を司る臓腑。過剰に活動することはなく、加齢とともに衰えやすい。
  • 実証が見られる場合は、腎そのものではなく「水湿の滞り」や「腎陰虚による熱症状(虚熱)」として表れる。

3. 心(しん) – 「精神・血脈を司る」

主な虚証

  • 心気虚(しんききょ) – 動悸、息切れ、不安感
  • 心血虚(しんけっきょ) – 眠れない、顔色が白い、めまい
  • 心陰虚(しんいんきょ) – ほてり、寝汗、不眠

実証が存在しない理由

  • 心は「血脈を管理し、精神活動を支える」臓腑であり、気や血が過剰に溜まることはない。
  • 実証として現れるのは「心火旺盛(しんかおうせい)」などの火(熱)の過剰な状態であり、「心気実」「心血実」といった概念はない。


4. 肺(はい) – 「呼吸と気の巡りを司る」

主な虚証

  • 肺気虚(はいききょ) – 息切れ、風邪をひきやすい、声が小さい
  • 肺陰虚(はいんきょ) – 乾いた咳、のどの渇き、肌の乾燥
  • 肺陽虚(はいようきょ) – 体の冷え、寒がり、痰の多い咳

実証が存在しない理由

  • 肺は「気を取り込み、巡らせる」役割を持つが、気が過剰に滞ることはない。
  • 風邪やアレルギーによる「肺実(はいじつ)」のような病態は、肺そのものの実証ではなく、外邪(風寒・風熱)による影響

実証がある臓腑との違い

一方で、実証の病態が見られる臓腑としては以下が挙げられます。

実証が見られる臓腑 主な実証
肝(かん) 肝気鬱結、肝火上炎(イライラ、怒りっぽい)
胃(い) 胃熱、胃気上逆(胃酸過多、吐き気)
胆(たん) 胆湿熱(胆石症、苦味を感じる)
大腸(だいちょう)・小腸(しょうちょう) 腸熱、湿熱(下痢、腹痛)

これらの臓腑は、「気や血が過剰になりすぎる」「停滞する」ことがあり、実証として診断されることがあります。


まとめ

「脾・腎・心・肺」は、基本的に虚証のみで、実証の概念がない。
これらの臓腑は、「気・血・津液を生み出す役割を持つため、不足(虚証)になりやすい」。
「肝・胃・胆・大腸・小腸」は、気や熱が停滞・過剰になりやすく、実証の病態が存在する。

このように、臓腑ごとに「虚証のみ」「虚証と実証がある」といった特性があることが、東洋医学の診断・治療において重要なポイントとなります。

少し難しい内容でしたが、「東洋医学ってそういう考えなんだ」という程度に理解していただければ十分です。

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