【症例紹介#16】膝の痛みと灸の効果

【患者】

20代女性

【主訴】

右膝の内側が痛く、長時間立っていられない。

【所見】

・腫れや熱感はなく、軽く押圧しても痛みは出ない。
・やや強く圧迫すると痛みが発生する。
・右大腿部(太もも)の内側をストレッチさせるように押圧すると、
・膝の痛みが再現される。
・痛みが顕著な場所は、右膝内側の中央から下部(脛の骨との境界)付近。

【治療内容】

痛みが顕著に現れる、右膝内側の中央から下部(脛の骨との境界)付近には、股関節を内転(股を閉じる動作)させる動作に強く作用する、内転筋群が付着する部位である。

太ももの内側の筋肉をストレッチさせるように押圧した際に、
膝の内側部に痛みが再現したということは、当該内転勤群が
何らかの理由で過剰に収縮しているため、腱と骨との接合部が引っ張られて
痛みとして現れていると推察される。

治療に際しては、内転勤群の弛緩が第一であるが、ストレッチをかけると痛みが増悪するため、
マッサージを継続させることはあまり好ましくない。

また、太ももの内側部は皮膚も薄く、鍼を打つと内出血する危険もあるため、
あまり余程のことがない限りここに鍼をすることはない。

こういった場合に使いやすいのが「灸」である。
灸はもぐさを小さく捻ったものを、灸専用の台座シールの上に置き、
火をつけて熱刺激を加えるものである。

熱刺激の採用について説明すると、
熱い鍋等を不意に触れると、「!?」となって意思とは関係なく手を引っ込めないだろうか?

これは「反射」と言われるもので、人間の体に組み込まれた防衛のためのシステムだ。

灸の様な小さな刺激では、関節を動かすほどの大きな反射は起きないが、ほんの一瞬の微細な筋肉の収縮と弛緩を強制することによって、筋ポンプを活性させ血流を促進させる。

筋肉と骨をつなぐ部分を「腱」というが、この部分にはほとんど血液が通っていない。
そのため治癒が遅く、一度痛めると治りが非常に遅い。

そのため、灸をすることで強制的に血液を送り込み、治癒を早める効果を持っている。

本症例の場合は

 

を中心に、数箇所施灸した。

施術後は
「痛みがない!なんで?不思議」
と驚いていたが、痛みが取れて何よりだったと思う。

これは、千年灸でも可能なので、膝や肘を痛めている場合はぜひ試してほしい。
痛い場所の周りに施灸すると良い。

 

灸の代わりに、下記の電子温灸器を活用しても良い。

 

 
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