はじめに
夏越の祓（なごしのはらえ）は、毎年6月30日に全国の神社で行われる神道の伝統行事で、半年間の穢れ（けがれ）や災厄を祓い清め、暑い夏を健康に過ごせるよう祈る儀式です。
本記事では、夏越の祓の歴史や由来、代表的な儀式や食べ物、現代における意義について詳しく解説します。
1. 夏越の祓の由来と意味
夏越の祓は、古代日本の宮中儀式に由来し、「大祓（おおはらえ）」の一環として行われています。
大祓とは、1年の穢れを清めるための儀式で、毎年6月と12月の2回（夏と年末）に行われます。
- 6月の大祓 → 夏越の祓（半年間の穢れを祓う）
- 12月の大祓 → 年越の祓（1年間の穢れを清める）
日本では昔から、「罪」や「穢れ（けがれ）」が溜まると疫病や災害を引き起こすと考えられてきました。
そのため、神様に祈り、半年間の罪穢れをリセットするという意味で、この行事が続けられています。
✅ ポイント：夏越の祓は、「半年分の穢れを清め、残り半年の無病息災を願う」儀式。
2. 夏越の祓の代表的な儀式
(1) 茅の輪くぐり（ちのわくぐり）
夏越の祓といえば、神社の境内に設置される「茅（ちがや）」で作られた大きな輪をくぐる儀式が有名です。
茅の輪くぐりの作法
- 左回り → 右回り → 左回りの順で3回くぐる。
- 「祓え給え、清め給え」と唱える。
- これにより、半年間の穢れが祓われ、無病息災が願われる。
起源：『備後国風土記』によると、スサノオノミコト（素戔嗚尊）が旅の途中で宿を借りた家の主人・蘇民将来（そみんしょうらい）に「疫病から身を守る方法」として茅の輪を授けたことが始まりとされています。
✅ ポイント：茅の輪をくぐることで、邪気を祓い、健康を祈願する。
(2) 人形（ひとがた）流し
神社では、紙で作った人形（ひとがた）に名前を書き、息を吹きかけて身代わりとし、川に流す儀式も行われます。
これにより、穢れや厄を川の流れとともに洗い流すとされています。
✅ ポイント：「人形」に穢れを移し、川に流すことでリセットする。
3. 夏越の祓の食べ物：水無月（みなづき）
夏越の祓の日に食べる和菓子として「水無月（みなづき）」があります。
- 特徴：三角形のういろう生地の上に小豆をのせた和菓子。
- 意味：三角形は「氷」、小豆は「魔除け」の意味を持つ。
- 由来：京都の宮中では、旧暦6月に「氷」を食べて暑気払いをしていたが、庶民は手に入らないため、氷を模した和菓子を食べる習慣が広まった。
✅ ポイント：「水無月」を食べることで、厄除け＆暑気払いの意味がある。
4. 現代における夏越の祓
夏越の祓は、日本全国の神社で行われており、現代でも広く親しまれています。
特に京都の上賀茂神社・北野天満宮などでは、大規模な茅の輪くぐりが行われ、多くの参拝者が訪れます。
また、新型コロナウイルスの影響で、近年は「オンライン人形流し」など、現代に合わせた形での実施も増えています。
✅ ポイント：夏越の祓は、現代でも神社で行われており、健康祈願のために参拝する人が多い。
5. まとめ
✅ 夏越の祓とは？
- 毎年6月30日に行われる神道の伝統行事で、半年間の穢れを祓う儀式。
- 「大祓（おおはらえ）」の一環で、無病息災を願う。
✅ 主な儀式
- 茅の輪くぐり → 3回くぐり、穢れを祓う。
- 人形流し → 人形に穢れを移し、川に流す。
- 水無月を食べる → 氷に見立てた和菓子で厄除け＆暑気払い。
✅ 現代でも広く行われる神事
- 全国の神社で実施。
- オンラインでの参加方法も増えている。
夏越の祓は、日本の伝統文化の一つとして、現在も大切に受け継がれています。
半年の穢れをリセットし、清らかな気持ちで夏を迎えるために、ぜひ神社を訪れてみてはいかがでしょうか？
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