血虚とは?貧血や不眠につながる血の不足と対策

はじめに

「めまいがする」「立ちくらみが多い」「寝つきが悪く、夢をよく見る」——このような症状に心当たりはありませんか?

東洋医学では、これらの不調は「血虚(けっきょ)」という状態に分類されます。

血虚とは、体内の「血」が不足することによって起こる様々な症状を指します。特に女性は生理による血の消耗があるため、血虚の傾向が強くなりがちです。

本記事では、血虚の基本的な概念、血虚による症状とその原因、東洋医学と現代医学の視点からの解説、そして改善のための具体的な方法について解説します。


血虚とは何か?

東洋医学では、「血」は体に栄養と潤いを与え、全身を巡ることで健康を維持すると考えられています。

血が不足すると、体に十分な栄養や酸素が行き渡らず、様々な不調が現れます。

血虚は、単なる貧血とは異なり、「血が足りない」「血の巡りが悪い」状態が慢性的に続くことを指します。


血虚の症状と影響

血虚が起こると、以下のような不調が現れることがあります。

精神的な影響

  • 集中力の低下
  • 物忘れが多くなる
  • 不安感や落ち込みやすさ
  • 眠りが浅く、夢を多く見る

身体的な影響

  • 顔色が青白くなる
  • めまいや立ちくらみ
  • 髪や肌が乾燥しやすい
  • 手足が冷えやすい
  • 生理不順や経血量の減少

特に、不眠や冷え性、疲れやすさは血虚の代表的な症状とされています。


血虚の原因(東洋医学・現代医学の視点)

東洋医学の視点

東洋医学では、血虚の主な原因として以下が挙げられます。

  • 栄養不足 → 血を作るための栄養が不足し、血虚につながる
  • 慢性的な疲労や過労 → 気血の生産が追いつかなくなる
  • ストレスや精神的な負担 → 気の巡りが悪くなり、血の生成が滞る
  • 冷えによる血流の悪化 → 血が全身に十分に巡らない

現代医学の視点

現代医学的に見ると、血虚の症状は主に「鉄欠乏性貧血」や「低血圧」と関連しています。

  • 鉄分不足が血液の酸素運搬能力を低下させる → 立ちくらみや息切れが発生
  • 自律神経の乱れが血流を悪化 → 冷えや不眠につながる
  • 慢性的なストレスが血流を抑制 → 髪や肌への栄養供給が減少

このように、東洋医学と現代医学の視点から見ても、血虚の症状は生活習慣や栄養状態と密接に関連していることが分かります。


血虚を改善する方法

1. 食事で血を補う

血虚を改善するためには、鉄分を多く含む食材や血の巡りを良くする食材を積極的に摂ることが重要です。

血を補う食材

  • レバー、赤身肉、カツオ、マグロ(鉄分が豊富)
  • ほうれん草、小松菜、ひじき(植物性鉄分)
  • クコの実、ナツメ(東洋医学で血を養うとされる食材)
  • 黒ごま、黒豆(血の巡りを良くする)

控えるべき食材

  • カフェイン(鉄分の吸収を妨げる)
  • 冷たい飲み物(血流を悪くする)
  • 過剰な加工食品(血の生成を阻害)

2. 睡眠と休息をしっかり取る

血虚の人は、エネルギーを消耗しやすいため、十分な休息が必要です。

  • 夜更かしを避け、規則正しい睡眠を心がける
  • 眠る前にリラックスする時間を作る
  • 深い呼吸を意識し、自律神経を整える


3. ツボ押しやお灸で血の巡りを促進

血虚を改善するためには、血流を促すツボを刺激するのも有効です。

血虚を改善するツボ

  • 三陰交(さんいんこう)(足首の内側にあり、血を補う)
  • 足三里(あしさんり)(膝下にあり、全身のエネルギーを高める)
  • 関元(かんげん)(おへその下にあり、血流を改善する)

お灸を使うことで、さらに血流促進の効果が期待できます。


血虚から派生する弁証(簡単に紹介)

血虚は他の症状と組み合わさることで、以下のような弁証に発展することがあります。今は「こんなのがあるんだな」くらいの認識で大丈夫です。

  • 血虚生風(けっきょせいふう) → 皮膚の乾燥やかゆみ、震えが起こる
  • 血虚肝風(けっきょかんぷう) → 手足の震えやけいれんが現れる
  • 血虚陽虚(けっきょようきょ) → 血の不足とともに体が冷えやすくなる
  • 血虚気滞(けっきょきたい) → 血と気の両方が滞り、疲労感や憂うつ感が強くなる
  • 血虚心神不安(けっきょしんしんふあん) → 不眠や動悸、不安感が出やすくなる

まとめ

血虚は、血の不足によって「体に栄養が行き渡らない」状態が続くことで引き起こされる不調です。

食事や睡眠、ツボ押しを活用することで、血の巡りを整え、心身のバランスを回復することが可能です。

もし、慢性的な不調が続く場合は、鍼灸治療も有効な手段の一つです。

専門家のアドバイスを受けながら、自分の体質に合ったケアを取り入れてみましょう。

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